AIDMAの法則とは?消費者行動を理解する5つのステップ

マーケティングの世界では、消費者の行動を理解し、その心の動きを捉えることが成功への鍵となります。その中でも長年にわたり活用されているのが「AIDMAの法則」です。1920年代に生まれたこのフレームワークは、消費者が商品やサービスに出会ってから購入に至るまでのプロセスを5つの段階に分けて説明し、企業が効果的にアプローチするためのガイドラインを提供してきました。

現代ではSNSやデジタルマーケティングが主流となっていますが、AIDMAの法則は今も変わらず、消費者の心理を理解するための基本的な考え方として重要です。本記事では、このAIDMAの法則がどのように機能するのか、そして現代のマーケティングにどのように活かせるのかを解説します。

目次

AIDMAの法則とは?その定義と歴史

AIDMAの法則とは、消費者が広告や商品に接触してから購買行動に至るまでの心理的なプロセスを表す法則です。1920年代にアメリカでRoland Hallによって提唱され、広告やマーケティングの分野で広く使われてきました。

「注意(Attention)」「興味(Interest)」「欲望(Desire)」「記憶(Memory)」「行動(Action)」の5段階で構成されています。

AIDMAの法則の定義

AIDMAの法則は、消費者が商品や広告に触れた際の心理的なプロセスを説明するための理論です。

広告やプロモーションを通じて、まず消費者の注意を引き、次に興味を持たせます。その後、欲望を喚起し、消費者がその商品やブランドを記憶し、最終的に購買行動を起こすことを目的としています。

この法則は本来、特に大量消費財やシンプルな商品を扱う企業において、消費者の購買意思決定プロセスを理解するための基本的な手法として用いられています。

AIDMAの法則が提唱された時代と現在のマーケティング手法は異なりますが、顧客心理は変わりません。

AIDMAの誕生背景

AIDMAの法則が提唱された1920年代のマーケティングは、ラジオや新聞、雑誌などのマスメディアを活用した広告が主流で、消費者の購買行動にどのような心理的プロセスが関与しているかに注目が集まっていました。

AIDMAの法則は、この心理的プロセスを段階的に説明するために開発され、広告の効果を測定しやすくするために使われてきました。

現代のAIDMAの法則には2種類ある?

これは私独自の考え方(もしかしたら同じことを言っている方もいるかも知れませんし、当たり前のことです)ですが、現代のAIDMAの法則には考え方が2種類あります。

それは「短期的AIDMAの法則(本来のAIDMA)」「中長期的AIDMAの法則」です。

顧客の心理段階は共に同じですが、売り物によって最適な方法が変わってくると思います。

短期的AIDMAの法則、5つのステップ

短期的AIDMAの法則は提唱されたそのものの考え方で、主に広告を活用したモデルとなります。

特に消費者が商品についての情報を事前にあまり調べない場合に適しています。

以下に、それぞれのステップについて詳しく解説します。

「注意(Attention)」を引きつける方法

消費者にまず商品や広告に気づいてもらうことが、AIDMAの法則の最初のステップ「注意(Attention)」です。

注意を引くためには、視覚的にインパクトのあるデザインやキャッチフレーズが効果的です。

また、ユニークなメッセージや消費者の興味を引くような問いかけも、注意を引くための重要な要素となります。さらに、SNSやインフルエンサーを活用して、話題性を持たせることで、消費者の目に留まりやすくなります。

  • 目を引くデザインやキャッチコピーを使う
  • ユニークなメッセージで興味を引く
  • SNSやインフルエンサーを利用して話題を作る

「興味(Interest)」を持たせるテクニック

次のステップは「興味(Interest)」を喚起することです。

消費者に商品に興味を持ってもらうためには、商品のユニークな価値や他にはない特徴を強調することが効果的です。

例えば、具体的なメリットや使用方法を提示したり、消費者が直面する問題を解決できる点を強調することで、興味を引き出すことができます。動画やデモンストレーションも、興味を持たせる強力な手段です。

  • 商品のユニークなポイントを強調する
  • 使用方法やメリットを具体的に示す
  • 動画やデモで視覚的にアピールする

「欲望(Desire)」を喚起するポイント

消費者の欲望を刺激することが、AIDMAモデルの中で最も重要なステップの一つです。

商品の魅力を具体的に示すことで、消費者の「欲しい」という気持ちを引き出します。

たとえば、商品の使用によるベネフィットや、他社製品にはない独自性を強調することで欲望を喚起することができます。また、期間限定のオファーや割引キャンペーンも、購買欲を高める手法の一つです。

  • 商品の具体的なベネフィットを示す
  • 独自性をアピールする
  • 限定オファーや割引を利用する

「記憶(Memory)」に残る広告とは

消費者の記憶に残る広告を作成することは、購買行動に大きな影響を与えます。

記憶に残りやすい広告を作るためには、強い印象を与える視覚や聴覚的な要素、シンプルかつ覚えやすいメッセージが重要です。

また、繰り返し広告を目にすることで、消費者の記憶に定着しやすくなります。キャッチフレーズやブランドロゴなど、一貫性のある要素を使うことで、認知を高め、記憶に残る広告を作成することが可能です。

  • 視覚や聴覚に強いインパクトを与える
  • シンプルで覚えやすいメッセージを使用する
  • 繰り返し広告を展開して認知を定着させる

最終ステップ「行動(Action)」に導く

AIDMAモデルの最後のステップは「行動(Action)」で、消費者が実際に購買行動を起こす段階です。

このステップに到達するためには、購買を促す強力な呼びかけが必要です。

例えば、購入ボタンを目立たせたり、緊急性を訴える「今すぐ購入」「数量限定」などのメッセージが有効です。また、レビューや口コミ、実際に商品を使用しているシーンを提示することで、信頼感を高め、消費者を購買行動へと導きます。

  • 購買を促す明確なコールトゥアクションを設置する
  • 緊急性や限定性を訴えるメッセージを使う
  • レビューや口コミを活用して信頼感を醸成する

短期的AIDMAの法則は広告が有効

短期的なAIDMAの法則はこれまで解説したステップからわかるように広告が有効になります。

同じ世代以上の人だと思い浮かびそうですが、「ダイソンのCM」なんてまさにこのAIDMAの法則が用いられていると思います。この文章を読むまでダイソンを思い浮かべなかった方は、ダイソンを頭に入れてもう一度読み直してみてください。

中長期的AIDMAの法則、5つのステップ

中長期的なAIDMAの法則はSNSやオウンドメディアなどのコンテンツマーケティングに有効です。もちろん広告でも同様です。

以下に、それぞれのステップについて詳しく解説します。

「注意(Attention)」を引きつける

最初のステップでは、「知らない人に認知してもらう」というステップです。

SNSやオウンドメディアでできるだけ多くの情報を発信してインプレッション・アクセスを稼ぐ、または広告によって認知してもらうなど、「知らない人の目に触れる」ということを意識しましょう。

  • 広告を見てもらう
  • SNSの発信を見てもらう
  • 検索エンジンから流入してもらう

「興味(Interest)」を持たせるテクニック

興味関心を持ってもらうステップです。具体的には「知っているだけで興味がない状態からどういうもの(サービス)かを理解してもらう」ステップとなります。

SNSでは品質の高い投稿を見てもらうことでフォローやお友達登録を促す。オウンドメディアでは品質の高い関連記事や定期購読、LINE公式アカウントへのお友達登録などを促す。これらのように認知の段階で目に触れた情報で非常に品質の高い情報を提供する必要があります。

  • 品質の高い情報でSNSのフォローを促す
  • 品質の高いコンテンツでホームページなどへのアクセスを促す

「欲望(Desire)」を刺激する

「サービスを理解しているが欲しいと思わない状態から欲しい、買いたいと思わせる」ステップです。

フォローや定期購読など、コンテンツを定期閲覧しているファンの方は「欲しいと思うポイント」が異なることが多いです。

このようなフォロワーに様々な角度から欲しいと思わせる情報を定期的に届けましょう。

細かく具体的な訴求ポイントに絞って発信することでより効果を発揮します。

  • 欲しいと思ってもらえる情報を深堀して情報発信
  • ひとつの情報は一つの購入理由に絞って発信
  • 定期購読を活かして良質なコンテンツ発信と混ぜて訴求

「記憶(Memory)」に残すコミュニケーション頻度

「覚えていない(選択肢として浮かばない)から接触機会を増やして記憶に残す」ステップです。

SNSやWEBコンテンツで記憶に残すには定期的に発信しているだけでは不十分です。

特にSNSではアルゴリズム上、興味関心の強いアカウント、コミュニケーション頻度の高いアカウントの情報ほど優先表示されます。

エゴサーチやコメントに対してレスポンスを行うことでより効果的に記憶に残す、発信が目に触れる状態になることに繋がります。

  • エゴサーチやコメントに対してのレスポンスを重視する
  • 発信を定期的に行う
  • 目に触れる機会を戦略的に増やす

最終ステップ「行動(Action)」に導く

「購入する機会がない状態を購入する機会を設ける」ステップです。

SNSの発信だけでは実はこの購入ステップが不足している場合が多いです。

SNSのプロフィール欄に購入アクションが気軽にできるようなホームページなどがあるか?LINE公式アカウントで簡単に購入できるようなリッチメニューが設置してあるかどうか?が重要です。

見込み顧客がサービスとして気になっていても「購入できる場所の実態が不明」「わざわざお問い合わせをしないと購入できない」という状態では購入したいと思った直後に離脱してしまう人が多いです。

またホームページのように商品・サービスの詳細を説明する情報が不足している場合、その実態が不明なため購入に至らない可能性が高いです。

必ず購入してもらうためのアクションと見込み顧客が安心するだけの情報を用意しましょう。

  • 信頼できる情報が見られる状態を作っておく(ホームページやラインディングページ)
  • 購入リンクやフォームなど購入に至る場所やツールを明確にする

中長期的AIDMAの法則はAISASの法則も採用すると効果的

中長期的AIDMAの法則はAISASの法則も採用すると効果的です。

AIDMAとAISASの違い

AIDMAとAISASは、いずれも消費者行動モデルですが、そのプロセスや適用範囲に違いがあります。

AIDMAは消費者が受動的に広告を受け取り、最終的に購買行動に至る直線的なモデルです。

一方でAISASは、インターネット時代に対応したモデルで、消費者が自ら情報を検索し、その結果をシェアするという行動が含まれています。AISASは非直線的であり、現代のデジタルマーケティングに適したアプローチです。

AISASの法則とは?

AISASモデルは、デジタル時代の消費者行動を反映した新しいモデルです。AISASは「Attention(注意)」「Interest(興味)」「Search(検索)」「Action(行動)」「Share(共有)」という5つのステップで構成されており、特にインターネットやSNSが普及した現代の消費者行動を説明するのに適しています。このモデルでは、消費者が商品の情報を自ら調べる「検索」と、他人に情報を共有する「共有」が新たな要素として加わっています。この2つのステップは、購買行動に大きな影響を与えるため、マーケティング戦略において重要視されています。2004年に電通が提唱した用語です。

AIDMAとAISASをどのように使い分けるべきか?

AIDMAとAISASを使い分ける際のポイントは、ターゲットとなる消費者層や商品カテゴリー、広告媒体に依存します。AIDMAは、消費者が受動的に広告を受け取るテレビやラジオなどのマスメディアに適しており、シンプルな商品やブランド認知を重視する場合に効果的です。一方でAISASは、消費者が積極的に情報を調べる商品や、口コミやレビューが購買意思に影響を与えるデジタル商品やサービスに適しています。以下のポイントを押さえて使い分けましょう。

  • マスメディア向けの商品にはAIDMAを活用する
  • デジタルマーケティングにはAISASが効果的
  • 検索や共有が購買決定に影響する商品にはAISASを採用する

AIDMAモデルをマーケティング戦略に応用する方法

AIDMAモデルは、消費者の購買意思決定プロセスを理解し、効果的なマーケティング戦略を立てるために役立つツールです。各ステップに応じたアプローチを採用することで、広告の効果を最大限に引き出すことが可能です。以下では、AIDMAを活用したマーケティング施策の実例やデジタル時代における応用方法を紹介します。

AIDMAを活用した成功事例

AIDMAモデルを活用した成功事例としては、やはりダイソンのテレビCMがあげられます。「注意(Attention)」を引くために魅力的なビジュアルとキャッチフレーズを使用し、視聴者の「興味(Interest)」を引き出しました。そして、商品の独自性を強調して「欲望(Desire)」を喚起し、印象的な広告が視聴者の「記憶(Memory)」に残るよう工夫しました。最終的に、全国の家電量販店とのキャンペーンなどを行い販売促進に成功しました。

「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」というキャッチフレーズは多くの人が覚えているのではないのでしょうか?

AIDMAモデルを使ったデジタルマーケティング戦略

デジタル時代においてもAIDMAモデルは有効です。

例えば、オンライン広告やソーシャルメディアを活用して「注意」を引き、その後ランディングページで「興味」を喚起することができます。

また、特典やオファーを提示して「欲望」を引き出し、購買プロセスを簡素化することで「行動」を促すのが効果的です。さらに、顧客が広告を「記憶」しやすくするために、リターゲティング広告やメールマーケティングを利用することも有効です。

  • オンライン広告で注意を引く
  • ランディングページで興味を引き出す
  • オファーや特典で購買欲を喚起する
  • リターゲティング広告で記憶に残るよう工夫する

まとめ

今回の記事では、AIDMAモデルの基本とその5つのステップ、さらにAISASモデルとの違いや応用方法について解説しました。AIDMAは、消費者の購買プロセスを理解するための基本的なフレームワークであり、デジタル時代においてもその価値は変わりません。特にマスメディア広告においては依然として効果的な手法です。今後は、AISASモデルのような新しい消費者行動モデルと組み合わせて、より柔軟なマーケティング戦略を展開することが求められるでしょう。

記事の要点まとめ
  • AIDMAモデルは、消費者行動を5つのステップで説明するフレームワーク
  • AIDMAとAISASの違いは、AISASがデジタル時代の検索・共有行動を重視している点
  • AIDMAは伝統的なマスメディア広告に強みを持つ
  • デジタルマーケティングでもAIDMAは応用可能
  • AISASとの併用で、より効果的なマーケティング戦略が可能

今後は、AIDMAとAISASの使い分けや組み合わせを活用し、消費者の購買行動をしっかりと捉えたマーケティング施策を展開することが、企業の成功につながります。

私たちNiGLANではお客様のデジタルマーケティングのサポートも行っております。

まずはお気軽にご連絡ください。

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この記事を書いた人

ホームページ制作「NiGLAN」の田村健太です。2011年よりデジタルマーケティングを実践的に学び、SNSでの集客を中心にアクティブラーニングで身に着けました。2015年より本格的にSEOを習得、2018年には運営メディアの集客が月間50万PVを達成しました。SEOの実践知識を元に集客に繋がるホームページ制作をしております。

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